家庭内で嘔吐や下痢が続いたときに疑うのがノロウイルス。
消毒が大切であるノロウイルスですが、消毒・除菌におすすめなのが今回紹介する次亜塩素酸水です。
この記事では、ノロウイルスにおける次亜塩素酸水の効果やポイントについて紹介します。
目次
ノロウイルスとはどんなもの?
ノロウイルスは食中毒を引き起こすウイルスです。
生の魚介類(特に二枚貝)を十分な加熱調理をしないで摂取したり、調理する人の手を介して汚染された食品を摂取したりすることで起こります。
ノロウイルスの感染時期のピークは秋から冬です。ウイルスに感染してから1~2日の潜伏期間を経て、下痢・吐き気・嘔吐の症状が現れます。また、人によっては発熱、頭痛や胃の痛みが現れることも。
ノロウイルに感染しても、ほとんどの場合数日くらいで自然に改善します。一方で、子どもや高齢者、持病がある人は、重症化することがあるので注意が必要です。また、嘔吐症状により窒息を起こしたり、誤嚥性肺炎を引き起こしたりすることもあります。
ノロウイルスの感染経路と予防のポイント
ノロウイルスの感染経路にはいくつかの種類があります。感染経路ごとの予防対策は以下のようになります。
経口感染
ノロウイルスの感染経路の大部分を占めるのが、経口感染です。経口感染は、汚染された食品や水を摂取したり、ウイルスのついた手で口を触ったりすることで起こります。
そのため、調理者の手の消毒や食品をきちんと加熱調理することが、感染予防になります。
接触感染と飛沫感染
ノロウイルスで注意したいのが、経口感染以外の感染経路です。ノロウイルス感染者の吐物や便からはウイルスが漂っています。
介助者が感染者の汚物を素手で処理したり、ウイルスを吸い込んだりすることで感染が広がる危険性があります(前者を接触感染、後者を飛沫感染といいいます)。また、ノロウイルスの感染例のなかには、汚れたカーペットを介して感染したケースもあります。
加えてノロウイルスの場合、感染者の症状がなくなってからも、長くて1週間は便の中にウイルスが確認されています。
したがって、感染者の汚物を処理するときは、必ず
- 手袋
- マスク
- エプロン
をするようにし、症状がなくなってもこまめに消毒し続けることが重要です。
ノロウイルスにはアルコールは効きづらい
家庭での一般的な消毒薬として用いられているものにアルコールがあります。
消毒剤の万能のイメ―ジがあるアルコールですが、ノロウイルスなど一部のウイルスには効果が弱く効きづらいということがあります。
アルコールはインフルエンザウイルスのように、粒子の表面に脂質を持つウイルスに有効です。
一方、ノロウイルスの表面は脂質の膜で覆われていないため、アルコールによる消毒に効果が出づらいのです。
ノロウイルス対策に効果的な液体とは?
ノロウイルスはさまざまな感染経路を持つため、感染力が強いことで知られています。
ノロウイルスを殺菌するのに、厚生労働省がすすめているのが「次亜塩素酸」の使用と加熱です。
次亜塩素酸を含むものは、ハイターなどで知られる「次亜塩素酸ナトリウム液」と、近年話題に上がることの多い「次亜塩素酸水」があります。
それぞれ説明します。
※加熱についてはご存知かと思いますので説明を省略します。
ノロウイルス対策① 次亜塩素酸ナトリウム液
代表的な次亜塩素酸の消毒剤には、キッチンハイターなどで知られている「次亜塩素酸ナトリウム液」があります。
食品からのノロウイルスの感染を防ぐには、調理器具を希釈したハイターに浸す、ハイター液で拭き取ることが有効です。
※もちろん煮沸消毒も効果的なので、まな板や包丁、食器、ふきんは1分以上85度以上のお湯に浸して消毒すると良いでしょう。
次亜塩素酸ナトリウム液は劇薬なので、使ったら水で洗い流したり、水ふきしなければならないなど手間がかかる場合が多いです。
ノロウイルス対策② 次亜塩素酸水
ノロウイルスに対して効果を発揮する次亜塩素酸ですが、もうひとつの次亜塩素酸の消毒剤として挙げられるのが「次亜塩素酸水」です。
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸が主成分の電解水です。
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウム液との同類性が認められており、一般にハイターなどの次亜塩素酸ナトリウムは、強いアルカリの性質を持つため、手が荒れたりすることがあります。また、次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒は、用途ごとに濃度が変わるので、希釈のための計算や手間がかかります。
一方、次亜塩素酸水は低濃度でも次亜塩素酸の含有量が優れているため、ご家庭でのノロウイルス対策に活用できます。次亜塩素酸系の消毒剤を手軽に使いたい人は、次亜塩素酸水の使用を検討してみるのもよいでしょう。
ノロウイルス対策のための次亜塩素酸水の使い方
次亜塩素酸水は手軽に活用できます。ノロウイルス対策で次亜塩素酸水を使うときは、以下のポイントを参考にしてください。
ポイント① 手洗いをするとき
ノロウイルス対策で手洗いをするのなら、次亜塩素酸水を使うのもおすすめです。次亜塩素酸水は便などの有機物につくと水になってしまうため、殺菌効果を失います。
手洗いに次亜塩素酸水を使うときは、流しながら行いましょう。ふつうの手洗いの後に、次亜塩素酸水ですすぐのも効果的です。
ポイント② 体拭きにも使える
次亜塩素酸水で体を湿らせたのち、次亜塩素酸水で絞ったタオルで、体を拭き上げましょう。次亜塩素酸水は汚れで効果を失うため、一方向に拭いていくのがポイントです。
次亜塩素酸水には除菌効果あるので、皮膚の常在菌まで取り除いてしまう可能性があります。
体拭きに次亜塩素酸水を使うときは、ウイルスに汚染された部位にとどめましょう。
ポイント③トイレ掃除に
次亜塩素酸水を噴射して数分経ったら噴射し、拭き取りを行います。トイレに感染者の汚物が大量にある場合は、次亜塩素酸水だけで処置するのは適切ではありません。
まずは手袋とマスクで取り除いてキレイにしたあとに最後の仕上げとして次亜塩素酸水を使うようにしましょう。
ポイント④ キッチンなど部屋の掃除・除菌に
ノロウイルスは感染力が強く、寝具やドラノブ、カーテンに付着したものが原因で感染することがあります。
次亜塩素酸ナトリウムの消毒剤は、金属を腐食させたり素材を傷めたりするので、次亜塩素酸水を噴射するとよいでしょう。
ポイント⑤ 食器の消毒
次亜塩素酸水による流水で、洗い流します。
次亜塩素酸水ナトリウムの消毒剤と異なり、時間をかけて浸す必要はありません。
また、素材を傷めることがないので、すすぎや拭き取りの手間もかかりません。
次亜塩素酸ナトリウム液より安全な次亜塩素酸水を
次亜塩素酸ナトリウムの消毒液はハイターを希釈して作れって対策することができますが、間違った使い方をしてしまうと、皮膚に影響が出てしまうため、取り扱いに注意しなければなりません。お子さんがいる家庭など、特に心配される方も多いはずです。
参考文献
次亜塩素酸水除菌ラボ編集部では、厚生労働省の提供資料および信頼性の高い論文に基づいたコンテンツ制作を行っております。
- 厚生労働省/ノロウイルスに関するQ&A/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000209627.pdf - 財団法人機能水研究振興財団/ノロウイルス対策に賛成電解水(次亜塩素酸水)は有効に使えます。/
http://www.fwf.or.jp/data_files/view/552/mode:inline - 厚生労働省/次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性/
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/08/dl/s0819-8k.pdf
(制作・編集:次亜塩素酸水除菌ラボ編集部)