次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに効果があるのか?【随時更新】

次亜塩素酸水

世界的な流行をみせており、各国でさまざまな対策が行われている新型コロナウイルス。日本でも2020年に1月より、新型コロナウイルスの感染者が発覚し、4月には緊急宣言が出されました。

新型コロナウイルスをきっかけに、消毒や除菌をしっかり行いたいという人が多くいらっしゃるようで、アルコール消毒剤や除菌剤が入手困難になっています。
上記に付随して、次亜塩素酸水も入手困難になっていますが、新型コロナに対して効果があるのでしょうか?

本記事では次亜塩素酸水と新型コロナついてわかっていることを解説いたします。

※はじめに

新型コロナウイルスへの効果については、確証のある情報(研究結果)が少ない状態です。新たに情報が入った場合に随時更新して解説いたします。
現状、次亜塩素酸水における新型コロナウィルスへの効果については

「次亜塩素酸水により新型コロナウィルスの不活化効果が帯広畜産大学の研究により証明されたが、日常のコロナ対策にどういう使い方をすればいいのかは研究待ち」という状態です。
(当編集部:更新日2020年5月16日)

2020年4月16日時点では、コロナウィルスへの不活性効果についての研究結果はありませんでしたが、ここ1ヶ月程度で研究が大幅に進んだようです。

以下詳細を説明します。

新型コロナウイルスとは?

新型コロナウィルスとは、一般的な風邪ウイルスであるコロナウイルスから発生した、新型のウイルスで、正式名は「SARS-CoV-2」といいます。新型コロナウイルスは、中国の武漢市で発生したといわれているウイルスです。

※中国では、伝統的に食用や薬用のために野生動物の売買がさかんであり、これらの動物から人へ新型コロナウイルスが感染した可能性が考えられています。
本章では、新型コロナウィルスについての簡単な説明をいたします。

新形コロナウイルスの感染経路とは?

新型コロナウイルスは、1人の感染者から2~3人程度感染させるといわれています。この感染症の主な感染経路は、飛沫(ひまつ)感染と接触感染とされています。

① 飛沫感染

感染者から出た咳やくしゃみ、だ液などの水滴に含まれるウイルスを吸い込むこと感染すること。

② 接触感染

感染者や咳やくしゃみのため、手で口で押えることにより、手にウイルスが付着し、感染者が触った物に触れることで感染すること。通常、皮膚から感染することはなく、ウイルスのついた手で口や鼻、目を触ることで感染します。

また、新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がっていることから、感染者の咳やくしゃみだけでなく、呼吸からウイルスがエアロゾル化して感染する可能性も指摘する専門家もいます。
(現時点のWHO(世界保健機関)や厚生労働省の見解は、飛沫感染と接触感染となっています※1)

新型コロナウイルスで消毒・除菌が大切な理由

新形コロナウイルスがここまで大きく広がったのは、人の動きが活発になっているためです。ウイルスそのものは目で確認できないため、感染者の行動範囲が広ければ、それだけ多くのウイルスも撒き散らされることになります。

新型コロナウイルスの感染対策で重要・推奨されているのが、石鹸による手洗いです。※2

手洗いをすれば、手に付着したウイルスを取り除けます。

一方で、状況によっては手洗いしづらい時もあるでしょう。そんなときに役立つのがアルコール消毒。

新型コロナウイルスは70%のアルコール液で不活化するとされています※3。なお、手洗いの後にアルコール消毒をする人もいますが、正しい手洗いが行われていれば、その後にアルコールで消毒する必要はありません。

また、手のアルコール消毒以外にも大切なのが、不特定多数の触った物を消毒することです。新型コロナウイルスは、手で触れる機会の高い物は触ることでも感染します。アルコール消毒に加えて、ハイターなどを薄めた次亜塩素酸ナトリウム液(0.1%)による消毒に効果があるとされております※3

新型コロナウイルスは、物につくと3日以上生き延びるという報告もあります。ドアノブや手すりなどを消毒することは、感染予防のために大切でしょう。

新型コロナウイルで消毒剤が品切れ状態

新型コロナウイルスの影響を受けて、アルコールジェル品切れも続いています。スーパーやドラッグストアの中には、連日長蛇の列を作っているところも。

新型コロナウイルスは、人が密集する場所でも感染しやすいので、人の集まる列に並ぶのも控えたいところです。そんな中、アルコールジェルの代替品として注目されているのが次亜塩素酸水です。

一部の地方自治体では、アルコール消毒剤の不足を補うために、次亜塩素酸水を配布してしているところもあります。

次亜塩素酸水とはどんなもの?

次亜塩素酸水は、塩酸や食塩水を電気分解すると得られる水溶液です。新型コロナウイルスで、次亜塩素酸水が注目されているのは、殺菌成分である「次亜塩素酸」を含むためです。次亜塩素酸はハイターになど家庭用塩素系漂白剤に含まれる殺菌成分です。

次亜塩素酸を含む水溶液として、以下のものがあります。

  1. 次亜塩素酸ナトリウム液(ハイターなどを薄めて作る。殺菌効果があるが取扱に注意が必要)
  2. 次亜塩素酸水(①より安全に使用することが可能)

 

厚生労働省では、手で触る機会の多い物品を、熱水や次亜塩素酸ナトリム液による消毒を推奨しています。

たとえば、新型コロナウイルスに感染した患者さんが使った食器は熱水に憑けるとよいでしょう。ドアノブや手すりなど不特定多数の手が触れる部分は、次亜塩素酸ナトリウム液による消毒が有効です。

新型コロナウイルスに次亜塩素酸水は効果がある

感染対策のために消毒や除菌をする上で気になるのが、実際の効果です。
2020年5月14日帯広畜産大学 獣医学研究部門の小川晴子教授及びグローバルアグロメディシン研究センターの武田洋平特任助教らの研究グループが、新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の不活化効果を証明しました。※6

資料によると、以下のことが判明しました。

  1. pH2.5 74mg/Lの次亜塩素酸水とコロナウイルス液をまぜあわせて1分反応させたところ、99.99%以上のウイルスが不活性化された。
  2. 次亜塩素酸水の濃度が下がると、コロナウィルスへの効果は下がる。
  3. タンパク質を含むウイルス液の不活性化には十分な量の次亜塩素酸水が必要

 

効果があることは判明したものの、日常の手指消毒に使えるのかなどについては、さらなる研究を待つ必要があるようです。

今回共有された内容は、4/16に開始された(独)製品評価技術基盤機構とは別の組織によるものなので、厚生労働省によるお墨付きがでるのは、もう少し先の話となりそうです。

※以下は2020年4月16日時点での記録です。

次亜塩素酸ナトリウムと同等の殺菌力を持つとされる次亜塩素酸水ですが、新型コロナウイルスへの効果については、「未確認(証明されていない)」状態です。ただし、証明に向け(独)製品評価技術基盤機構が実証実験を開始しております。
一般財団法人 機能水研究振興財団が2020/03/31 に提出した資料※4の通り、
「新型コロナウイルスを含めてコロナウイルスは、インフルエンザウイルスと同じくエンベロープをもつ粒子 構造をもっています(図 2)。したがって、次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに対しても有効性を示すと推察できます。」
とのこと。

つまり、「有効性を示すことが推察される」ところまでが分かっている範囲で、本当に効果があるのかという実証実験を待って本当に効果があるといえるようになるとのことです。
2020年4月15日に経済産業省のHPにて、コロナウィルスへの有効性の実証が開始されたと掲載されました。こちらの検証結果を待って、効果の有無が判明しそうです。

新型コロナ以外の対策としても有効性あり

次亜塩素酸水は、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、カビなどさまざまな微生物に効果があることが分かっています※5
次亜塩素酸水は弱酸性なので、アルコールジェルのように肌を乾燥させることはありません。また、有機物と反応すると水に戻るので、物品を消毒した後に水拭きする手間もありません。
このように感染対策の一環として取り入れてみるのもよいでしょう。
また、手持ちにアルコールジェルがなく、外出からの帰宅時に使いたい場合は、「やらないよりは良し」ということで、使ってもよいでしょう。ただし石鹸による手洗いが推奨されていますので、そちらとあわせて対応することが重要です。
次亜塩素酸水を使った場合も、引き続き手で顔を直接触らないなど、基本の感染予防の行動が必要です。

参考文献

次亜塩素酸水除菌ラボ編集部では、厚生労働省の提供資料および信頼性の高い論文に基づいたコンテンツ制作を行っております。
※1:厚生労働省「新型コロナを防ぐには」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000596861.pdf
※2:厚生労働省「新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00009.html
※3:国立感染症研究所:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov.html
※4:一般社団法人 機能水研究振興財団「新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の有効性について」:
http://www.fwf.or.jp/data_files/view/1708/mode:inline
※5:厚生労働省/次亜塩素酸水/
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002wy32-att/2r9852000002wybg.pdf
※6:帯広畜産大学/新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の不活化効果を証明 /
https://www.obihiro.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2020/05/act.pdf

(制作・編集:次亜塩素酸水除菌ラボ編集部)